がんとの共生を実現する看護

2007年に施行された「がん対策基本法」においては、患者の意向を尊重したがん医療を提供することが基本理念の一つとして謳われています。がん看護においても患者の視点を重視したケアを実践できる質の高い看護師の育成が求められています。がん看護専門看護師やがん看護領域の認定看護師数は着実に増加してきていますが、活用方法等、まだまだ多くの課題をかかえているのが現状です。医療現場では看護師不足による医療提供体制の弱体化なども現れ始めてきており、がん患者の多様なニーズに応える看護の実践には多くの課題が山積しています。そういう状況の下、医療現場では、今あるマンパワーを効率よく活用し、理想のがん看護の実現を目指す努力が求められています。


第24回日本がん看護学会学術集会では、このような背景に鑑み、メインテーマを「がんとの共生を実現する看護」と致しました。一生涯のうちに3人に1人が、がんに罹患する時代であり、さらに、転移や再発のためがんを身体に抱えて生活する多くの患者さんがいます。また、治癒が達成された患者さんでも、心の中ではいつもがん体験を意識し続けます。「共生」という言葉には、再発転移を有する人も治った人も、身体や心の中ではがんと共に生きているという意味を込めました。そして、「がんとの共生」を実現するための専門職として、知恵と技、多職種との協働、地域社会とのつながり等、がん看護の本質について討論し、日々のがん看護の向上に繋げていくことができる学術集会になるようにプログラムを企画しました。


特別講演は、力強いメッセージを発信してくださる「がん体験者」を予定しています。 シンポジウム「がんとの共生を実現するためのがん看護のスキル」では、新しい時代のがん看護に必要ながん看護技術をシンポジストから発表していただき、議論を進める予定です。 パネルディスカッションでは、外来治療の増加や高額な新規抗がん剤の登場等により経済面の問題も深刻になってきているため、「がん患者の生活を支えるー暮らしとお金―」と題して、がん患者や家族への支援や今後の課題について討論していただく予定です。 教育講演は、「がん診療連携拠点病院の役割」、「がん患者の心を支えるコツ」、「外来化学療法看護の手引きの活用」、「臨床試験の今」など、がん看護を実践していくための具体的なテーマを選びました。


日本がん看護学会教育研究活動委員会事業として、がん化学療法看護に関する国際教育セミナーの開催も特別企画として予定しており、最新の情報を得る機会となっています。  


学術集会が開催されます2月は、富士山の雄姿がよく見える季節です。山の幸、海の幸にも恵まれた静岡県で、自然の恵みを存分にお楽しみいただければ幸いと存じます。

多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

学術集会長 古田 里惠